消毒について
@あらゆる創傷治療において消毒は有害無益である。
A消毒しても皮膚も創面も無菌化できず、その効果は「細菌の一時的減少」に過ぎない。
Bあらゆる消毒薬は「蛋白質の変性」を起こして殺菌するが、蛋白質はあらゆる生物の基本的構成要素であり、消毒薬の作用に種特異性はなく、非特異的にあらゆる生命体を傷害する。
C人体細胞は細胞膜むき出し状態だが、細菌は細胞膜を細胞壁が取り囲み、さらに脂質を含むバイオフィルムを作る能力を持っている細菌も多い。すなわち人体細胞は裸同然であるのに対し、細菌は厚いプロテクターを着ているようなものである。このため、ポピドンヨードやクロルヘキシジン原液中でも生存・増殖できる細菌はいるが、人体細胞培養液中のシャーレに消毒薬が入ると全て死滅する事になる。
D消毒薬で死なない細菌はいるが、消毒薬で死なない人体細胞は存在しない。
Eポピドンヨードは酸化作用で蛋白質を変性するため、有機物存在下では急速に失活する。従って、膿、壊死組織、血液、フケ、垢はポピドンヨードの殺菌力を失活させる事になる。
F上記の理由から、膿が出ている傷、出血している傷、浸出液のある傷をポピドンヨードで消毒するのは全く意味が無い。一方、ポピドンヨードには界面活性剤が添加されていて、これは有機物では失活しないが組織障害作用を有している。
G創面をクロルヘキシジンやポピドンヨードで消毒している時にいきなりアナフィラキシーショックを起こして呼吸停止した例は、過去かなり報告されている。クロルヘキシジンは多くの歯磨き剤、軟膏に添加されているため、ほとんどの日本人が既に感作されていると考えられる。安易に「傷を消毒」していると、突然の呼吸停止に遭遇する可能性がゼロではない。
Hアメリカの外科の教科書では20年前から「創面に消毒薬を入れてはいけない」と明記されている。
新しい創傷治療より引用、一部改編
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